■ 蔵王代艦までの道のり ■
みなさんも知っての通り蔵王はあらゆる点において非常に強力な重巡洋艦ですが、その実態は低HPかつ悪射界のダブルコンボに悩まされる「雑魚」の烙印を押されてしまっている残念な艦となってしまっています。
また史実性の点からも蔵王という船は元ネタすら存在しない完全な架空艦であり、カタパルトや雷装が船体の後方に移動している点も納得できません。
そこで9か月前、蔵王の代わりになりそうなT10日巡を作ってみよう!ということで以下の記事を執筆しました。
上の記事ではHPの大幅な増加や主砲を31cm砲にすることで性能の改善を狙ったのですが、主砲口径を拡大しすぎたせいで門数が減少してしまいコレジャナイ感が否めなくなったのが欠点です。架空艦なのもあって満足できない結果となってしまいました。
■ 代艦のネタ探し ■
架空艦じゃあダメだ!ということで、実在した計画で候補にできるものを探すことにしました。まずは既存の艦艇の次級があるかどうか?というところから手を付けはじめることに。
候補1: 伊吹型重巡洋艦の次級
そんなものはどうやらないようです。残念。つくれ
候補2: 改利根型重巡洋艦
Wikipedia先生で軽く調べただけなのですが、どうやら利根型の発展型が計画されていたようです。プレミアム艦のネタとしては面白いとは思いますが、確認できる性能を見ただけだとせいぜいT9あたりで、巡洋艦ツリーの掉尾を飾るにはふさわしくないように思えました。ボツ。
早速ですが詰みました。もしこれらの艦艇の次級で有力なものがあればぜひ教えて下さい。
■ あなたが最後の希望です ■
どうやら既存の艦艇の次級でティア10を作ることは凡そ不可能らしい。このまま蔵王を受け入れるしか無いのでしょうか?他の巡洋艦計画はないのでしょうか?
しかしここはさすが我らが日本海軍。従来の重巡を超えた性能を持つ巡洋艦を計画していました。その名も「超甲型巡洋艦」。
ただのAzumaじゃねーか!いいかげんにしろ!と思ったそこのあなたは正しいですが、間違っています。なにも超甲巡を名乗る計画が1つだけしかないとは限らないのです。
某ツイートによれば、マル3計画の検討され始めたぐらいの時期に我々の知るものとは別の「超甲巡」が計画されていたとのこと。おおまかな性能も載っており大変興味深い内容だったのですが所詮はTwitterなので半信半疑。
しかしつい先日、この計画に関する一次情報を発見することに成功したので以下にその内容を共有したいと思います。
主砲: 10インチ砲8門以上
速力: 36ノット
防御: 12000メートルで対8インチ, 20000メートルで対10インチ
排水量: 15000トン
これしかないのかよ!といいたいところではありますが、これだけでも十分に性能考察を行うことが出来ます。少なくとも改利根型や蔵王をティア10に据えるよりは遥かにマシなんじゃないでしょうか。
■ かんたんな性能考察 ■
まず気になるのは従来の8インチ(203mm)砲ではなく10インチ(254mm)砲を採用している点です。この口径の砲は薩摩型戦艦と香取型戦艦で使用されている実績がありますが、のちの31cm砲を考慮すると口径を切り上げて260mm砲になる可能性が高いと思われます。また、主砲門数は8門「以上」であり、実際建造された場合は9門になる可能性も十分考えられます。
次は防御について。12000mで対8インチとあるので側面の最大装甲厚は170mm程度と推測できます。この数値は、日本の20.3cm砲の装甲貫通力を参考にして算出したものです。米国の採用したSHSで同様の防御力を発揮できるとは限らないのが難点ですが、まあどうでもいいでしょう。
■ おえかきタイム ■
わかっていること、それを元に考察した要素をもとにして蔵王代艦の予想図を作っていました。
まず主砲は9門にしてみました。8門でも別に問題は有りませんし、連装4基ならば全幅を抑えることができ日巡っぽくなるのですが宗教上の理由で3連装3基9門に変更。
次は艦型です。マル5計画の超甲巡は大型巡洋艦というより大和型を小型化・巡洋戦艦化したような感じですが、今回の蔵王代艦の場合だと単純に大型化した巡洋艦の性格が非常に強く出ていると考えられるので、当時の最新鋭巡洋艦である最上型を拡大させたような見た目になりました。
防御についても同様に、最上型を踏襲した装甲配置にしてみます。主砲直下のみ170mmにして機関区は102mmに抑えられている、という設定にしてみました。
■ WoWSだとどういう性能になるか ■
上では紹介しませんでしたが、基準排水量は16500トン程度を想定しています。元の計画では15000トンでしたが、いざ建造するにあたって排水量が微増したという設定です。そうすると満載排水量は19000~20000トン前後になると思われるので、これをWoWSに落とし込むとHPはだいたい47000ぐらいになります。
そして問題は260mm砲です。この口径の砲はWoWSに実装されていないので想像するしか有りませんが、似たような口径ならいくらかあるのでそこからダメージ量、貫通力を類推することが出来ます。
また、わらび餅氏が以前に蔵王代艦の主砲提案というテーマで同口径砲の性能を考察しており、それも大きな参考になりました。
砲弾重量は先程述べた日254mm砲を基準にして計算し、252kgとします。その他パラメータも弄って、貫通力と着弾時間は以下のような関係性になりました。
近距離での貫通力の低さは低初速と砲弾重量に起因するものですが、クルップ値を上げたことで遠距離での良貫通力の実現に成功しています。
空気抵抗係数も低めに設定しました。これによりかなりの良弾道になることが推測できます。
さて、そろそろ材料が揃ってきたので諸元を埋めて行こうと思います。
■ 諸元 ■
◆要目◆
満載排水量: 19820トン
全長: 220.98 m
最大幅: 23.16 m
出力: 161000 馬力
◆継戦能力◆
HP: 47100 (+修理班)
末端装甲: 25 mm
船体中央: 30 mm
主装甲: 102 - 170 mm
火災時間: 30 s
◆主砲◆
260 mm/50 Type 3連装3基
装填時間: 13.5 s
射程: 17.2 km
主砲旋回速度: 6°/s
水平散布界: 143 m (σ2.05)
HE弾
口径: 0.26
αダメージ: 4300
火災発生率: 23 %
砲弾重量: 252 kg
初速: 840 m/s
抗力係数: 0.272
口径: 0.26
αダメージ: 6300
砲弾重量: 252 kg
初速: 840 m/s
抗力係数: 0.26
クルップ値: 2700
砲塔可動範囲
1番砲塔: ±150°
2番砲塔: ±150°
3番砲塔: ±142°
◆対空◆
蔵王とほぼ同じ
◆雷装◆
610 mm 4連装4基(片舷2基)
装填時間: 165 s
魚雷
射程: 12 km
ダメージ: 23767
雷速: 67 kt
被発見距離: 1.7 km
発射管可動範囲
1番発射管: 0° ~ 97.5° (死角: 0° ~ 40°)
2番発射管: 0° ~ -97.5° (死角: 0° ~ -40°)
3番発射管: 0° ~ 97.5° (死角: 0° ~ 40°)
4番発射管: 0° ~ -97.5° (死角: 0° ~ -40°)
◆機動性◆
速力: 35 kt
旋回半径: 850 m
転舵所要時間: 8.2 s
◆被発見距離◆
水上: 12.6 km
航空: 7.2 km
◆消耗品◆
応急工作班(スロット1)
効果時間: 5s
準備時間: 60s
水中聴音(スロット2)
使用回数: 3
効果時間: 100s
準備時間: 120s
魚雷発見: 3km
艦艇発見: 4km
対空防御砲火(スロット2)
使用回数: 3
効果時間: 40s
準備時間: 80s
継続ダメ: +50%
爆発ダメ: +300%
修理班(スロット3)
使用回数: 3
効果時間: 28s
準備時間: 80s
秒間HP回復量: 0.5%/s
戦闘機(スロット4)
使用回数: 3
行動半径: 3km
効果時間: 60s
準備時間: 90s
着弾観測機(スロット4)
使用回数: 4
射程延伸: +20%
効果時間: 100s
準備時間: 240s
■ 完走した感想 ■
とりあえず蔵王調整の報が入る前に間に合ってよかったです。今回の蔵王代艦のテーマはいかにツリー艦っぽく作れるか、そしてなによりも史実の計画をどういうふうにアレンジできるかというところにありました。総括してみると、9ヶ月前に作ったものよりもデザイン・性能両方の面でいくらかマシになったのではないでしょうか。
ツリーとして実装できなくとも、ティア10プレ艦のネタとしては吉野とかいう超甲巡に魚雷をポン付けした上等な料理+蜂蜜的思想で作られたクソゴミカスコピペ艦よりも58350倍適当だと思います。
ということでWGさん
私が何をいいたいかはわかりますね?
よろしくおねがいしますね。