スキンMOD開発記 艦艇新造物語(前編)

日頃Twitterを見てくださっている方ならご存じかもしれないが、少し前から自分はスキンmodの制作に挑戦している。処女作である戦艦Californiaのテクスチャを弄ったものを発表したのが2022年の2月。そこからおよそ1年とちょっと経過した結果、これまでに積み上げられたノウハウを最大限に生かした最新作「BBJ-11 Yamato」では3Dモデルそのものの加工という新境地を開拓することに成功した。

 

そして来たる第7作目では「改造」ではなく「新造」を目指すこととした。手間は間違いなくこれまで以上にかかるものだろうし、せっかくなのでその道程を本記事に残していきたいと思う。

 

 

1. modにする対象とコンセプトの策定

対象についてはすぐ決まった。ここまでのビッグプロジェクトなのだから、自分の推し艦であるAzumaが唯一の候補として挙がり、1秒もかからずに採用された。

次はコンセプトの策定だ。模索当初は護衛艦風で行こうと考えていたのだが、どうも戦後艦艇のデザインに慣れていないせいであまり良いものができる気がしなかったので見送ることとなった。

↑はテキトーに描いた想像図である。マストを描いているあたりで「レーダーとかそこらへんを正確にモデリングするのキツくね?」という根本的問題にぶち当たりあえなく没に

 

その後に思い浮かんだのはSFの宇宙戦艦というコンセプト。こちらならば小学校高学年の頃から脳内で作り上げてきた妄想という名の資料があったため、より自分の納得のいく形でデザインを練ることができた。

デボン紀あたりの肺魚を彷彿とさせる船体をベースに低めの艦橋を作り、その上には天使の輪っかのような構造物を設けるというデザインである。ひとまずこれで船体を作成してみることにした。使用するソフトは勿論Blender

 

2. モデル制作

まずは上の画像をパソコンに取り込み、輪郭をトレースしたものを別ソフトで用意。それをBlenderに読み込ませればモデリングの大きな参考になるし、モデルそのものも左右対称になる以上、片面のみを作ってあとはコピペ反転でやれば手間も大きく減らすことができる。

 

と、ここまで作ったところで自己解釈違いに衝突する。作成途中にああしようこうしようと見た目を変えていった結果どんどん理想からかけ離れていってしまったのが最大の原因だった。

上記の理由により残念ながらこのデザインもごみ箱行と相成ってしまったので、すぐに代替デザインを作成。曲線を作るのが面倒くさいからなるべく直線多めに、複数パーツに分けることでその後の作業を簡略化できるようにした。やはり練習がものをいうのか、最初にモデリングした時よりも格段に所要時間が少なくなったのはさすが自分とほめてやりたいところである。

完成。やったね。

3. 進水準備、そして

船体自体は完成したが、くそげの海に浮かべるにはもう少し作業しなければならなかった。最初に行ったのはモデルを平面に展開する「UV展開」と呼ばれる作業だ。これはのちのちガワを作るにあたって非常に重要な段階ゆえ省略するわけにはいかないのである。幸いBlenderには自動で展開してくれる機能があるのでそこまでつらいわけではないが、やはり人力でやったほうが綺麗に展開図を作れるんじゃないだろうか。めんどいけど。

さらなる追加作業として展開図の名称を「uv1」に変更、ポリゴンの形状も四角から三角へ変更している。さらっと書いているがこの追加作業もしないと出力すらしてくれないので、もしモデル改変に挑戦する人がいたらこれを忘れないでやってほしい。

ここまでやってようやく置換作業が始まる。くそげの船体は主に「Bow(艦首)」「MidFront(中央前半)」「MidBack(中央後半)」「Stern(艦尾)」の4つの部位に分かれていて、さらにその中にも「~crack~」だとか「~wire~」だとか細かいパーツが含まれている。もっといえば「lod1」「lod2」「lod3」なるものもあって…つまり置き換える対象の数が尋常でなく多い。すべてをとっかえようものなら200や300、あるいはそれ以上のパーツを作らなければいけないんじゃなかろうか。

今まではこの置き換え作業を生真面目にやっていたので、終わるころには東からお天道様がライズしてくるなんてこともあったのだが、今回の制作を通じて上記のような細かいパーツをいくらか削除/無視しても許されるということがわかったのでこれに関してはぜひ共有しておきたい。…本当に大丈夫かなあ…?

移植作業を終えたらば、最終チェックとしてモデルの表裏がひっくり返っていないかの確認作業が始まる。上のように青色になっていたら問題ない。下の画像のようにみてくれが真っ赤だった場合表裏が綺麗にひっくり返っているので修正が必要となる。このまま出力してしまうとゲーム内での表示がおかしくなってしまうからだ。

ここまで来ればほぼ船体は完成といっても過言ではないだろう。あとはこれらのファイル群を.primitives+.visual形式で出力して別ツールで.geometry形式に変換。既存の.visualと.geometryを新しいものに置き換えれば作業は終了となる。ここまでしっかりとやってきているならば、以下のように改造モデルが表示されるようになる。

もし改造モデルの代わりに無限グルグルが表示される、クラッシュするというようであればなにかしらの不備があるということなのでその時はエラーログを確認するといいだろう。

というわけで今回は無事に船体を置き換えることに成功した。あとは主砲や副砲等の3Dモデルを作ってそれを置き換えるだけなので実質勝利、ガハハ!w

 

 

 

…まさかここからが本番になるとは。

後編に、続く。

 

追記

続きませんでした。制作意欲を失ってしまったので…つらいね…